bash でディレクトリ変数の展開を有効にする direxpand を設定する方法

Ubuntu 22.04 から、ターミナルでの変数を使ったディレクトリ移動が厄介になりました。

例を挙げます。

FSLのインストールパス は変数 $FSLDIR に入っています。私はこれまでは、$FSLDIR/standard にアクセスしたい場合

cd $FSLDIR までタイプしたら、その後、タブキーをタイプすると、シェルが自動で cd /usr/local/fsl と変数を展開してくれて、その後のディレクトリをタイプしていました。

しかし、Ubuntu 22.04 から、同じことをすると

cd \$FSLDIR/

と変数がエスケープされてしまい展開されなくなってしまいました。

これは不便です。

調べたところ、shopt というコマンドがあることを知りました。

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LinuxやmacOSでPythonの仮想環境を構築する方法

過去に、Anacondaに頼らない、pipとvenvを用いたPython環境の構築 という記事を書きました。今回、改めて、Pythonの仮想環境について理解が深まったので書きたいと思います。

仮想環境を構築したい背景

  • Python は、ひとつのシステムに様々なバージョンが存在しえます。macOSでの場合を、macOS の Python事情を理解するに解説しました。LinuxやWindowsも同じで複数のバージョンが存在しえます。
  • また、LinuxやmacOSにおいて、Pythonは、システムの重要なところを担っていたりします。Ubuntuであれば、 dpkg -l | grep python3 とすると、どれだけ多くの Python3に関連したパッケージがシステムにインストールされているかを確認することができます。

  • このような状況において、システムのPythonに追加でパッケージを入れていって、もし不具合が起きた場合、システムそのものが不安定になる可能性があります。

  • Pythonの仮想環境を使うと、システムの中に、独立したPythonの環境を構築することができます。「独立している」というのは、システムに一切影響を与えないということを意味します。不要になったらばっさり削除しても一切問題ありません。

  • そこで、以下で、仮想環境の構築の仕方を解説します

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nvidia関連のドライバーが依存の問題でアップデートできない時の解決法

2023年11月9日に普通にアップデートしたら以下の問題が発生しました。
環境はUbuntu 22.04です。

$ sudo apt update
---(中略)---
これらを直すためには 'apt --fix-broken install' を実行する必要があるかもしれません。
以下のパッケージには満たせない依存関係があります:
 nvidia-dkms-535 : 依存: nvidia-kernel-common-535 (= 535.129.03-0ubuntu1) しかし、535.129.03-0ubuntu0.22.04.1 はインストールされています
 nvidia-driver-535 : 依存: nvidia-compute-utils-535 (= 535.129.03-0ubuntu1) しかし、535.129.03-0ubuntu0.22.04.1 はインストールされています
                     推奨: libnvidia-gl-535:i386 (= 535.129.03-0ubuntu1)
E: 未解決の依存関係です。'apt --fix-broken install' を実行してみてください (または解法を明示してください)。

nvidia-dkms-535 が nvidia-kernel-common-535 に依存しているとあります。
よくみると、
nvidia-kernel-common-535は
535.129.03-0ubuntu1 が必要なようですが、 535.129.03-0ubuntu0.22.04.1がインストールされていると言われています。

バージョンの小さな違いがエラーを引き起こしているようです。

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過去のPhilipsのfMRIデータをdcm2niixで変換しようとした時に4次元データにならない問題の解決法

ある施設のrs-fMRIのDICOMデータをNiftiに変換しようとした時に、以下のようになってしまい、4次元データができませんでした。

sub1_+rsfMRI_201.nii
sub1_+rsfMRI_201_t10000.nii
sub1_+rsfMRI_201_t100000.nii
sub1_+rsfMRI_201_t102500.nii
sub1_+rsfMRI_201_t105000.nii
sub1_+rsfMRI_201_t107500.nii
sub1_+rsfMRI_201_t110000.nii
sub1_+rsfMRI_201_t112500.nii
sub1_+rsfMRI_201_t115000.nii
sub1_+rsfMRI_201_t117500.nii
sub1_+rsfMRI_201_t120000.nii
sub1_+rsfMRI_201_t122500.nii
sub1_+rsfMRI_201_t12500.nii
...

ポイントは、ファイル名の後ろに tの後に数字がつくことです。

この原因を探っていたところ、dcm2niixのGitHubページを見つけました。
https://github.com/rordenlab/dcm2niix/issues/428

ここで開発者のChris Rorden教授が以下のように述べています。

your files have a bogus value for cardiac trigger time (0018,1060). This is a limitation of your images, not dcm2niix. You should work with your Philips Research Collaboration manager to fix your scanner. For archival-quality data you could purge the invalid tags from your images, e.g. gdcmanon –dumb –remove 0018,1060 -i … -o …

Cardiac Trigger Timeというタグに値が入ってしまっていることで、dcm2niixはこれを別々のものと認識してひとつにしないようです。過去に撮像したデータの場合、0018,1060を削除するのは一手ではないかとおっしゃっています。実際に確認したところ、そのタグが入っていました。

そこで、このタグを削除する以下のようなPythonスクリプトを書いてみました。pydicomが入っていれば動くはずです。
こちらから手に入れられます。

#!/usr/bin/env python3
# -*- coding: utf-8 -*-

# Script to remove trigger time from Philips fMRI
# source: https://github.com/rordenlab/dcm2niix/issues/428
# 14 Oct 2023 K. Nemoto

import sys, os, time, argparse
import pydicom

__version__ = '20231004'

__desc__ = '''
Remove Trigger Time (0018,1060) from Philips rsfMRI
'''
__epilog__ = '''
examples:
  dcm_rm_trigger_time.py DICOM_DIR1 DICOM_DIR2 ...
'''

def remove_triggertime(src_dir):
    # modify files
    for root, dirs, files in os.walk(src_dir):
        for file in files:
            try:
                src_file = os.path.join(root, file)
                ds = pydicom.dcmread(src_file)
                pid = src_dir.replace('/','')
                del ds[0x0018, 0x1060]
                ds.save_as(src_file)
            except:
                pass

if __name__ == '__main__':
    start_time = time.time()
    parser = argparse.ArgumentParser(description=__desc__, epilog=__epilog__,
        formatter_class=argparse.RawDescriptionHelpFormatter)
    parser.add_argument('dirs', metavar='DICOM_DIR', help='DICOM directories.', nargs='+')

    err = 0
    try:
        args = parser.parse_args()
        for dicom_dir in args.dirs:  # Loop through all the provided directories
            print(f'remove dicom tag (0018,1060) from {dicom_dir}')
            remove_triggertime(dicom_dir)
        print("execution time: %.2f second." % (time.time() - start_time))
    except Exception as e:
        print("%s: error: %s" % (__file__, str(e)))
        err = 1

    sys.exit(err)

これは、

dcm_rm_triggertime.py DICOMフォルダ

とすることで、そのフォルダ内のtrigger timeタグを削除します。

この処理をした後のDICOMを使って dcm2niix を行ったところ、問題なく変換されました。

困っている人がいると思うので共有しておきます。

Windows 10/11 で、WSL2 を使って FSL をインストールする方法

Windows 10/11 では、Windows Subsystem for Linux (WSL) を使ってUbuntuなどのLinuxをインストールできます。WSL2 を使うと、GPUも使えるとのことです。

しかし、WSL2は基本、コマンドラインです。LinuxのGUIを起動するためには、工夫が必要です。現在、いくつかのアプリが公開されていますが、FSLの公式ページでは、VcXsrv を勧めていますのでそれを使うのが無難でしょう。

Ubuntu 22.04 も発表されて1年が過ぎて安定してきましたので、ここでは、

  • WSL2
  • Ubuntu 22.04
  • VcXsrv

をいれたうえで、FSL をインストールしてみます。

なお、このページは、FSLの公式サイトを参考に作成しました。

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FreeSurferとFSL 6.0.6以降を同時にインストールしている時に起きる事象への対処法

FreeSurfer と FSL 6.0.6以降を使っていると、ある事象が起きます。

  • Python3がFSLが提供するPython3になります。
  • dcm2niixがFSLが提供するdcm2niixになります。

これの影響を受けているかの確認法および対処法を最初に解説した後、その理由を述べます。

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CONNで前処理したfMRI画像の時系列データを取り出す方法

ある方から、「CONNで前処理したfMRI画像から、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の時系列データを取り出すにはどうしたらよいですか?」というご質問をいただきました。

鍵となるプログラムは以下の2つです。

  • conn_matc2nii
  • spm_summarise

以下に、方法を記載します。

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Ubuntu 20.04/22.04 上の FSL6.0.6 以降で CUDA 11以降のGPUを使う方法

FSL 6.0.6 以降で、CUDA 11以降も対応するようになりました。

いろいろ試行錯誤した結果、以下のようなシンプルな方法でFSLでCUDAを上手に使うことができるようになったので紹介します。

なお、Amulet社から販売している Powerstep Tower for Lin4Neuro は、既にこれらの設定が済んでいますので、電源入れたらすぐにEDDY, BEDPOSTX, XTRACTなどがGPUを使って解析できます。
なお、FSL 6.0.6 以降は既にインストールされているとします。

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Ubuntu で 新しいハードディスクを追加する方法 step by step

これまで新しいハードディスクを追加する際の tips を書いてきましたが、最初から最後までまとめます。SATA接続のSSDも同様です。

  1. 新しいデバイスを確認する
  2. fdisk を使って確認できます。

    sudo fdisk -l
    

    詳細はこちらに説明があります。

    この後は、 /dev/sda が新たなデバイスであると仮定します。

  3. パーティションの作成
  4. gdisk を使います。

    sudo gdisk /dev/sda
    

    この後、タイプするコマンドは

    n #新しいパーティションを追加 設定はすべてデフォルトのままでも可
    p #パーティションテーブルを確認
    w #パーティションテーブルの書き込み
    

    の3つだけです。

    詳細は先ほどと同じく、こちらに説明があります。

  5. ext4 としてフォーマット
  6. mkfs.ext4 を使います。

    sudo mkfs.ext4 /dev/sda
    
  7. ハードディスクのUUIDを確認
  8. blkid で確認できます。

    sudo blkid | grep dev\/sda
    

    ここで表示されるUUIDを後ほど使います。

  9. マウントポイントの作成
  10. 今の場合は /mnt/data1 にマウントするとします。

    sudo mkdir /mnt/data1
    
  11. /etc/fstab への追加
  12. /etc/fstab に以下の内容を追加します。詳細はここでは説明しませんが、データ用ならば以下の設定でよいのではないかと思われます。

    # HDD 2023-04-15 (コメントを記載した方がどのハードディスクかわかります)
    UUID=上記で調べたUUID    /mnt/data1    ext4    defaults    0    0
    
  13. ハードディスクのマウント
  14. mount -a でマウントできます。

    sudo mount -a
    
  15. オーナーシップの変更
  16. 自分だけ使う場合、chown を使ってオーナーを自分にすると使い勝手がいいです。

    sudo chown -R $USER:$USER /mnt/data1
    

これでハードディスクを追加できました。

FSLの設定ファイルを読み解く

FSLはデフォルトでは、Linuxの場合は、.profile の下、macOS の場合はお使いのシェルに応じて、.bash_profile もしくは .zprofile の下に 以下のような設定が書き込まれます。(6.0.6以降の設定です)

# FSL Setup
FSLDIR=/usr/local/fsl
PATH=${FSLDIR}/share/fsl/bin:${PATH}
export FSLDIR PATH
. ${FSLDIR}/etc/fslconf/fsl.sh

この内容を理解できると、ソフトの設定がわかるようになるので、1行ずつ解説してみます。

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FreeSurfer で Local Gyrification Index を求めるための準備

FreeSurfer では Local Gyrification Index (LGI) を求めることができます。LGIを一言で言えば、脳の皮質の折りたたみの状態を指標化とでも言えるでしょうか。
詳細は、本家のウェブサイトにありますが、ポイントを示します。

  • 必要なソフトウェアとしては、Matlab と Matlab Imaging Toolbox が必要となります。
  • Matlab のパスに $FREESURFER_HOME/matlab を追加しておくことが必要です。
  • 画像の準備としては、recon-all が終わっていることが必要です。

この3つを準備しておけば、あとは、以下のコマンドをタイプするだけです。

recon-all -s <fsid> -localGI

Ubuntu 20.04, 22.04 に HCP Pipeline の環境を設定する方法

しばらく前に、Ubuntu 18.04用にHCP Pipelineの環境を設定する方法を記載しましたが、いくつかアップデートもあるので、Ubuntu 20.04用以降でも設定できるようにします。

*2023/10/08追記: Neurodebianの設定についてうまく動かないミスがありましたので修正しました。神谷先生、ご指摘ありがとうございました。

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