すぐできるVBM: 精神・神経疾患の脳画像解析 SPM12対応

VBM_textbook

ついにできました!VBMの教科書です。
薄い本(150ページ弱です)ですが、VBMについての基礎知識がぎっちり詰まっています。

この本のいいところは、以下のようなところです。

  • 日本初の形態MRIの解析法であるVoxel-based morphometry (VBM)の方法を丁寧に紹介した本です。VBMだけを取り上げた本は世界にもないので、ある意味世界初です。
  • これから正式版が公開されるSPM12をもとに解説しています。SPMは4年ごとにアップデートされますが、ここ最近は正式版の公開は遅れています。2014年なのにまだSPM12の正式版がリリースされていないわけですから。したがって、今購入していただければ、最低でも5年間は使えます。SPMの使い方の基本も説明していますので、これからSPMを使ってみたいという方にもオススメです。
  • サンプルデータがついています。自分のデータセットがなくても、灰白質の抽出(Segmentation)から統計解析まで実際に行なってみることができます。
  • スクリーンショットが豊富です。すべて私が自分でスクリーンショットをとっているので、大きな間違いはないはずです。
  • 動作検証をWindowsとMacで行なっています(Linuxでも行なっています)。なので、WindowsユーザーでもMacユーザーでもきちんとできます。
  • VBMを応用した認知症診断補助ソフトウェアVSRADについても開発者の松田先生自らの解説が書かれています。

構成は以下の通りになっています。

第1章 はじめに
第2章 画像解析の準備
2.1 画像解析に必要なコンピュータのスペック
2.2 画像のファイル形式
2.3  画像解析の一連の流れ
2.4  SPMのインストール
2.5  サンプルデータ

第3章 SPMの動作の基本
3.1  SPMのウィンドウ構成
3.2  作業ディレクトリの設定
3.3  画像の表示
3.4  AC-PC位置合わせ
3.5  MATLABスクリプトを用いた半自動AC-PC補正プログラム

第4章 VBMの概要と前処理
4.1  VBMとは
4.2  分割化
4.3  DARTEL
4.4  バッチ(Batch)処理

第5章 統計モデルと結果表示
5.1  事前準備
5.2  群間比較(two-sample t-test)
5.3  相関解析
5.4  要因の分散分析

第6章 VBMの臨床への応用
6.1  VSRAD®
6.2  J-ADNI
6.3  VSRAD®の臨床応用例

ちなみに、総ページのだいたい半分が第5章に割かれています。VBMの前処理についての情報はそれなりにあるのですが、統計処理のところについての説明は非常に少ないので、統計処理について重点を置いています。

値段が5000円+消費税8%で5400円となっていますが、ここまで情報が詰め込まれているVBMの解説書はありませんので、形態MRI解析を志していて英語の文献を読むだけの気力がない方にはお手頃だと思います。(実は英語でもVBMの統計の部分の情報は系統的なものは少ないです…)

Amazonでも購入いただけます。リンクは下記。

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13 thoughts on “すぐできるVBM: 精神・神経疾患の脳画像解析 SPM12対応

  1. 根本先生
    日々著書で勉強させていただいております。
    大学院で画像解析の研究を始めたばかりです。

    初歩的な質問で恐縮なのですが、Segmentationを行ったときに
    c4頭蓋骨の画像が、背景が真っ黒にならず、白っぽくなることが時折生じます。
    ほかの分割には問題はなく、もとのデータにも不備はないように見えます。
    頭蓋骨なので、解析には問題がないように思いますが、
    先生が思い当たる原因などがあればご教示いただけますと幸いです。

    • 背景の信号値を知りたいですね。0.1とか0.2あたりではないでしょうか?

      • 根本先生
        分割後のC4画像でのintensityの値は、背景では0.7~0.9が
        まだらに分布しています。

        • そうなんですね。それはずいぶん高い値ですね。もとのMRIの背景に高い信号値がノイズで入っているぐらいしか考えられないですね。すでに言及してくださっているように、c1,c2,c3がきちんとできていれば問題ないです。c4,5,6はある意味ノイズを吸収する意味合いもあるので、むしろ好ましい結果とも言えるかもしれません。あとは、DICOMをniftiに変換するプログラムが影響することがあります。私の経験では、dcm2nii と dcm2niix で、背景のノイズが変わった経験があります。

  2. ご著書でいつも勉強させていただいております。
    初歩的なもので恐縮ですが、質問させてください。

    ご著書の第4章まで拝読いたしました。
    dartelのテンプレートは基本的に、「各研究」の「全症例」から作成するという認識でお間違えないでしょうか。
    研究ごとにテンプレートを作り直す必要があり、その研究に関わる全症例からひとつのテンプレートを使用するという考えで間違っていないでしょうか。

    お手すきの際にご教示いただけましたら幸いです。

    • ご質問ありがとうございます。

      はい、おっしゃるとおり、各研究の全症例から作成するという認識で大丈夫です。
      で、脳の形態が似ている被験者を使った研究ならば、その都度作り直す必要はないというのが私の見解です。
      たとえば、私は、1000例ぐらいからテンプレートを作っていて、被検者がそのテンプレートの属性に似ている研究は、それを使っています。

      ご参考まで。

      • 早速ありがとうございます。
        よくわかりました。

        重ねて質問することをお許しください。バッチ処理に関してです。
        ご著書のなかではすでにテンプレートがある状態でバッチ処理されていますが、テンプレートがない場合には新しく作る必要があるのですよね。この場合、バッチ処理前に全症例にsegmentationをかけて、rc…というファイルを作り、テンプレートを作成しておくという手順になるのでしょうか。ご著書のなかで「(筆者は)DARTEL(create Templates)をバッチで走らせることはしません」と記載がございましたので、バッチ処理のなかで、templateを作るわけではないという認識でよろしいでしょうか。

        ご教示いただけましたら幸いです。

        • はい、おっしゃるとおりです。全例rc1, rc2を作ったうえでテンプレートを作成します。
          バッチで走らせることはしませんと書いた理由は、研究ごとにSubjectも変わるのと、そんなにしょっちゅうやるものではないので、わざわざバッチを作るほどでもないかなと思ってという理由でして、バッチ処理をして悪いわけでは全くありません。むしろ考えてみると、Templateを作る目的で、手順を忘れないようにという意味でのバッチを作るのはありですね。

  3. Dear Kiyota sensei,
    I am a totally newbie in VBM study. I was quite confusing how to use SPM.
    I do appreciate your book very much.
    Even it is very hard for an international student with N3 level Japanese like me to read your book, I found it very precious and useful book. I already read VBM tutorial in English version but it is so difficult to understand what really happen in SPM without your book.
    There is something not written in the book but I found here in your page for addition.
    Thank you very much, Sensei!
    ほんとありがとうございました。日本語あまりできないので、すみません。

    • Dear Nguyen Anh,

      Thank you very much for your compliment.
      I’m glad to hear that this book has helped you.
      Don’t worry about Japanese. What matters most is your heart, not language. 😉

  4. 根本先生
    ポチらせていただきました。
    ご指摘の通り統計の部分はあまり日本語の解説がありません。
    勉強いたします。
    東急病院眼科_吉田正樹

    • 吉田先生

      どうもありがとうございます。
      ご感想をお聞かせ願えれば幸いです。
      今後ともどうぞよろしくお願いします。

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